私は学生時代から頭痛に悩まされていました。吐くほどまで強い痛みを経験したことはありませんが、吐き気を覚えることはしばしばありました。ただ寝れば、なんとなく起きたときには痛みは軽くなっていたので、痛み止めを飲むことは時々ありましたが、医者にかかることはありませんでした。
受験勉強で疲れているとき、レポートの仕上げで睡眠不足になっているとき、風邪をひいたときなどに、頭がガンガン痛くなっていました。医者になってからも、救急対応で一睡もできなかったときや、長時間の顕微鏡手術で数時間同じ姿勢をとっていたときは、終わった後に頭重感を必ず感じていました。そして、時にカロナールとかロキソニンとかいう痛み止めを看護師さんから看護室から余っているものをもらって、飲んでいました。
「たぶん、疲れているんだろうな」
「肩が凝っているんだろうな」
というのが、頭痛の原因に対する診断でした。(一応、脳神経外科医ですが...)
まあ、考え方としては、意識もしっかりしているし、手足の麻痺はないし、きちんと会話できているから、怖い病気は起きていないだろう、ということなんでしょう。
怖い病気、何があるでしょうか?脳出血、くも膜下出血、脳腫瘍、髄膜炎などなど。いやいや、そんな病気ならば、今こうやって仕事できていないだろうし、起きている元気もないだろう。
でも、やはり頭が痛いのはつらいし、頭が重いだけで気分が滅入る。外来診療で、「頭が痛いんです」と訴えられる患者さんの気持ちは、全力で理解しようとしてきました。ただ、自分自身の頭痛に対しての診断を、そのまま患者さんに当てはめてしまうと、それは大変なことになってしまうでしょう。
頭の画像検査をして、結果異常を認めなかったので、「あなたの頭痛は、単なる疲れです」とは言えません。あるいは、頭の痛みに対して痛み止めの処方をするだけでは、患者さんはある程度許してくれるかもしれませんが、自分自身としては納得いきません。
だから、頭痛についてしっかり勉強しようと気になったのが、今から5年くらい前の話です。もちろん、それまでも自分の頭痛以外に、脳神経外科医として脳卒中や脳腫瘍などの二次性頭痛について大学病院で毎日のように診てきましたし、専門にやってきた脊髄神経の領域で、手足の痛みや腰痛で悩んでいる患者さんと多く接してきましたので、痛みやしびれの辛さにはかなり敏感になっていたつもりです。しかし、痛みを理解しても、それを軽くしてあげられる術がないと、やはり患者さんに対して申し訳ないという気持ちが胸に重くのしかかっていました。
このブログでは、頭痛やそれ以外の首や腰の痛み、手足の痛みやしびれについて、自分が学んできたことを書いていこうと思っています。もちろん、皆さんにわかってもらえないと意味がないので、専門的なことは極力少なくしようと思っています。また、自分の分野以外の内容でも、自分で勉強したことはなるべくアップしていこうと思っています。